ワイルドカード参戦記~千葉恒太インタビュー~
Basser Allstar Classic出場をかけて千葉恒太が臨んだ、ワイルドカード。耐えに耐え忍ぶ展開は、僅差で優勝を逃すという悔しい結果に終わりました。千葉恒太はプラクティスから本戦をどう戦ったのか。本人に話を聞きました。

―――プラクティスでは、どういったパターンを掴んだのですか。
仲間に手伝ってもらいながら、本湖の浚渫や流入河川など、考えられるパターンはすべて試しました。行く先々で魚を触ることはできたものの、いずれも単発。パターンと呼べるものとは程遠く、本湖は魚が薄いと感じました。そこで一度冷静になり、シーズナルパターンを考えたんです。夏、水位が下がるとバスは沖の杭にサスペンドしますよね。それにうってつけなのが洲の野原の真珠棚。さっそく行ってみると片面だけで5本、キャッチできました。短時間でこれだけ釣れるところはほかにない。魚影が濃いのは確かです。そこで本戦のプランは真珠棚で揃えて、西の洲、もしくは河川の杭で勝負することに決めました。
―――当日の状況を教えてください。
久しぶりに緊張しましたね。プラを手伝ってくれた仲間のことや、釣りに集中できる環境を作ってくれた西村(嘉高)さん、(斎藤)マサヤのことが頭に浮かんで、無様な姿は見せられないな、と。フライトは13番。実はこれ、自分のラッキーナンバーなんです。カジノでも「13」に賭けるし。で、とりあえず予定通り、洲の野原へ向かいました。

プラクティスと違っていたのは風向き。プラでは北東だったのに対し、当日は南風。そのせいか、あれだけ反応がよかったのに、まったくの無。ジグやジカリグ、スモラバで食っていたので当日はジグの7g、11g、14gをローテーションしながら打っていったけれどまったく食わないんです。テキサスやスモラバを投入しても音沙汰がない。10時半ごろ、風がより強くなったので、スピナベやクランクの平行引きを試したけどダメ。そこでもう一度頭の中を整理し、ドライブシャッド4インチの3.5gテキサスをリフト&フォールさせる釣りにスイッチしたんです。
―――そこまでバイトがなくても、集中力が切れなかったんですね。
エリアをシェアしていた他の選手が10時半と11時に釣ったのを見たんです。それで「魚はいる」という確信が持てたのが大きかったですね。そこからはただ自分を信じて、ドライブシャッドのリフト&フォール。BMCの試合でも自分の窮地を救ってくれたエリアで、西村さんから「魚がいるところで粘れ」というアドバイスを受けていたのもありました。
―――その自信が快進撃につながったんですね。
はじまったのは11時すぎ。いきなり1700gクラスを獲ったけれど、自分の中では1200gぐらいにしか思えなかったんです。プレスで同船してくれた安藤(毅)さんが「そんなんじゃきかないぐらいデカい」って言ってくれたけれど、この一匹で完全に乗りました。浮いている魚に対して、スローにプルプルした動きで食わせる。これでキロ近いのを追加したところで、より風が強くなってきたんです。
もしかしたら底荒れするんじゃないかな、という読みもあったので、それまで打っていた水深1mのところから2.5mぐらいの真珠棚へ移動して、ルアーもSSギルのフリリグにチェンジしました。乗っていると当たるもんですね。ここで2つ追加して、リミットまであと1匹に迫りました。

―――完全にゾーンに入っている状態ですね。その後はどうなったのですか。
ここまで4バイト4フィッシュ。ミスもないし、もう、ここで獲るしかないと思っていました、そのときは。でも冷静になって考えると、新利根川に入ってキーパーを獲りにいってもよかったんです。ま、タラレバですけど、そのときはそこまで頭が回らなかったんですね。タイムリミットギリギリまで勝負する。それしかなかった。南の爆風が吹いていたので、帰着を考えるとそろそろ戻らないといけない。でも、あと一匹が欲しい。そのはざまで揺れる自分がいましたね。結局、帰り際に沈船で泣きの一投までしたのですが揃えることはできず、無念の帰着となりました。
―――そんな風の中、無事に帰ってこれたのですか。
走れないほどじゃなかったのと、チャンピオン210の走破性を信じていたので問題ありませんでした。でも実は西の洲の沖あたりでパワーポールが故障して支柱のロックが外れたんです。あのときはさすがに焦りましたね。カスミの魔物にやられた、って感じで。なんとか応急処置を施して、ギリギリ2分前に帰着することはできましたが。

―――結果、惜しくも30g差の2位でしたね…。
揃っていなかったし、勝てるとも思っていなかったというのが正直なところです。でも結果を聞いて耳を疑いました。マジかよ、って。あと31gで夢の舞台に立てたんですからね。でもやりきったんだし、悔いはない。っていうとウソになるかな。やっぱ悔しいです。次、またチャンスがあるなら、もうこんな思いはしたくないですね。借りはきっちり返したいと思います。

とにかく、この場に立たせてくれたBMCのメンバーや、西村さん、マサヤにはお礼を言いたいと思います。応援してくれて、ありがとうございました。
そしていつも支えてくださるスポンサーのO.S.P様、ハヤブサ様、カハラジャパン様、ラインシステム様、バレーヒル様、カンジインターナショナル様にも、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。
